あるゲーム業界のベテランが、メタスコアによって「粗がないけどつまらないゲーム」が生み出されやすくなる可能性を問題提起し、大きな議論を呼んでいる。メタスコアでの減点を恐れるあまり、開発においてゲームの本質ではなく、発売時点でのゲームの“粗の少なさ”が重視されうる状況が危惧されているようだ。
メタスコアとは、Metacriticがユーザーレビューのスコアとは別に掲載している数値だ。各種メディアのレビュー/点数を集めたうえで、平均とは違う独自計算にて100点満点で算出されている。ゲームメーカーによっては投資家向けに高得点を報告する例も見られるなど一定の権威を獲得しており、“ゲームの点数”として扱われることもある。
The Metacritic ecosystem encourages devs to make safe boring games.
— Raphael Colantonio (@rafcolantonio) November 23, 2024
As long as a game is polished at launch, you’re guaranteed a 80%, no matter how boring the game might be.
Meanwhile Stalker2 gets a 73 because it’s a bit rough on the edges at launch.
Unfair, misleading..翻訳
メタクリティックのエコシステムは、開発者が安全で退屈なゲームを作ることを奨励している。
ローンチ時にゲームが洗練されていれば、どんなにつまらないゲームでも80%は保証される。
一方、Stalker2が73点なのは、ローンチ時に少々荒削りだったからだ。
不公平だ。引用:https://automaton-media.com/articles/newsjp/metascore-metacritic-20241125-319409/
記事がなかなか長いのでまとめると以下の通り
ゲーム業界におけるレビュー集積サイト「Metacritic」のスコア(メタスコア)がもたらす影響について、Arkane Studiosの創設者であるRaphaël Colantonio氏が提起した問題を中心に議論が展開されています。
メタスコアの問題提起
- メタスコアとは
Metacriticが各種メディアのレビューを集計し、独自の計算方法で算出する100点満点のスコア。ゲームメーカーや投資家から一定の権威を持つ指標とされており、ゲームの評価や売上に影響を与える。
- Colantonio氏の主張
メタスコアは「粗(バグや最適化不足)の少なさ」を重視する傾向があり、その結果「綺麗だけどつまらないゲーム」が生まれやすくなると指摘。発売時点で洗練されたゲームであれば、内容が退屈でも高得点(80点以上)が保証されると述べています。
- 具体例:『S.T.A.L.K.E.R. 2』
ウクライナのGSC Game Worldが開発した『S.T.A.L.K.E.R. 2』は、不具合や最適化不足が原因でメタスコアが73点(執筆時74点)に留まっています。一方で、荒廃した世界観やゲームプレイは高評価を受けており、Colantonio氏はこのスコアを「不当で誤解を招く」と批判しています。
議論の焦点
- メタスコアの偏り
メディアレビューは発売直後の状態に基づくため、後から修正・改善された内容が反映されないことが多い。このため、発売後にアップデートで品質が向上してもメタスコアは上がりにくいという課題があります。 - ユーザーからの反論
「バグを残したまま発売されるゲームを肯定するのか」といった批判も寄せられています。また、進行不能バグなどで正当な評価が困難になるケースも指摘されています。
メタスコア以外の指標と今後
- 代替指標の台頭
SteamユーザーレビューやSNSでの口コミなど、メタスコア以外にもユーザーが参考にできる情報源が増えています。これにより、ユーザー自身が直接ゲーム体験を重視する傾向も見られるようになっています。 - デジタル販売と口コミの影響
デジタル販売の普及により、ユーザーはオンラインストアやSNSレビューを参考にして購入することが増加。従来のメディア評価への依存度は低下しつつあります。 - 業界への提言
Colantonio氏や他業界人は、メディア評価やメタスコアに過剰に依存する開発方針から脱却し、「粗は残っていても野心的なゲーム」を評価する仕組みへの転換を求めています。
結論
記事では、メタスコアが開発者や業界全体に与える影響について賛否両論を紹介しつつ、ユーザー評価やデジタル販売など新たなトレンドがその影響力を緩和しうる可能性についても触れています。また、発売後のアップデートによる改善を反映できるような新しい評価システムへの期待も示されています。
個人的感想
外部評価って結構便利で判断材料としては良い役割を果たしていると思っています。プレイヤー以外にも投資家やプロデューサー的にも会社の評価に繋がる外的指標なので社会的に便利であるのは間違いない。
とはいえ、ルーンファクトリーや幻想水滸伝2はバグゲーとはいえかなり高い評価を得ていたのも事実で、そういった動くかどうかわかんねぇけど俺が面白いって思ったゲーム作ってみたぜ!やってみ?っていう野心的なゲームも評価される指標ができれば世の中のゲームのあり方が変わっていくのかなと思っています。